【九龍尚樹】06/02/05
戦闘後、ケガと疲労とで座り込んだ九龍がおもむろに何かを取り出した。
「甲太郎。ほら、裁判官の石」
力強く、鮮やかな笑みに一瞬視線が囚われる。
「ん‥ああ。よくやったな」
一拍おいて、不自然では無い程度に会話を繋げる皆守。
「大変だったけどコレって黒塚が喜‥‥」
無邪気に話す九龍だったが、台詞を最後まで続ける事は出来なかった。
「‥‥‥‥‥‥痛ッーーーー!」
容赦なく九龍の脳天にかかとが振り降ろされる。
「ああ、このケガさえなければな。評価でいえば『がんばりましょう』だ」
アロマパイプを口に、何事もなかったかのようにくるりと背を向ける。
「さっさと魂の井戸まで戻るぞ」
スタスタとケガ人を置いて歩いて行く。
その背を恨めし気に見つめながら、
「ケガ人に蹴りをいれるってどうよ‥‥‥」
皆守に決して聞こえないように呟いた。

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