色とりどりのロリポップ。
甘い甘いそれを見た瞬間、ミランダの脳裏に浮かんだのは一人の少年。
みっともない自分を庇い、酷い怪我をしたのに笑顔で新しい門出を祝ってくれた。
生活力があって、諦めるというようなことを知らないような。
何となく笑みが浮かんだ。
「あの…それ、いただけますか?」
店主に声を掛け、一瓶貰う。
数え切れないほどの飴が入った、結構大きな瓶。
でも、きっとアレンはすぐに食べきってしまう。
その様子が目に浮かぶようで、再び笑みを浮かべた。
「ミランダさん買い物終わった?」
「はい」
「あ、ロリポップだ。どうしたの?」
「見たら、なんだかアレン君を思い出したので」
「ふふ、なんだかそれ判るな」
何時も、どんなときでも安心させるように微笑んでいる少年。
奇麗で、甘やかな様子があるのに、誰よりも強くて厳しい少年。
そして、誰よりも美味しそうに食べ物を食べてくれる。
「帰りましょう、ホームへ」
手を差し伸べてくれる少女の手を取り、ミランダは頷いた。
自分とは違う奇麗な少女。
以前であればコンプレックスで、手を繋ぐことも出来なかったが、今は何とか出来る。
差し伸べられる手。
無条件の信頼。
その信頼に応えられるだけのモノを、早く持ちたいと思いながら。
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5月にもらっておいて今時期にアップする極道ナマモノです。
(いっぱいいっぱいだったんです←切腹)
アレンを想うミランダさんの日常のワンシーンを切り取ったかのような素敵小説。
ミランダさんかーわーいーいー!うぉうッ、文章までかわいいよ。
こんな極悪ナマモノにいっつもいっつもいーーっつも素敵なものを送ってくれる吉 和さんは『神』です。
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