ある日周防達哉はひらめいた。
受け身でいるからいけないのだ、と。
つまり自分から動けばよい、と。
その事はある決意と共に、彼を動かした。
「兄さん」
「おはよう。なんだい、達哉」
いそいそと朝食を作りながら、お菓子の材料を並べ始めている兄に声をかけた。
ここで怯んではいけない。
あんこ餃子を平気で食べるような人間だから。
そのうちにピーナッツバター入りのにぎりめしや、あんこと生クリームのサンドイッチを
食卓に並べるかも知れないのだから。
「達哉?」
飛んでいた意識が戻ってきた。
声をかけられて良かった。
「あ、あぁ……兄さん、これ」
俺は持っていた物を兄に押しつけた。
「え?」
「今日は、今年は…俺が兄さんにチョコをやる」
一個千円なんて、絶対に兄さんは手を出さなさそうな高級チョコ。
結構財布には痛かったが、これぐらい来月回収できる。
「た、達哉……」
感動してくれたようだ。
一つ息をつく。
これで、今日菓子責めに合うのは回避できそうだ。
「愛を込めて選んだ……来月、返してくれれば…」
二・三深呼吸をする。
欲しい物があるんだ。
これは、その為の布石なのだから。
「その…兄さん自身を……兄さんが、欲しい」
グッと兄さんの目を見ながら、告げた。
兄さんの顔が、ぽんと赤くなる。
タコのようだ。
それは、うれしさと照れからだと知っている。
「来月、兄さんを食べたい」
「っ!ば、馬鹿なことを!!」
真っ赤な顔でそんなことを、顔を背けながら言われても、全く堪えはしない。
むしろ俺を助長する物だと、そろそろ覚えればいい。
「兄さん……楽しみにしてる」
近づき、耳元にキスを一つ。
甘い、一日が始まる。
 
 
 
-------------------------------------------------------------
2007.02.12
うわーん、ありがとー大好きだーッ!!
あまーい小説ありがとー!! 
なんですかこの素敵に爽やかな初々しさはッ!ボクは絶対書けない‥。
いや‥、しかし来月には頑張ってお返ししなきゃ‥‥。
やべぇええ!ネタ出ししとかなきゃーー!!
inserted by FC2 system