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- ある日周防達哉はひらめいた。
- 受け身でいるからいけないのだ、と。
- つまり自分から動けばよい、と。
- その事はある決意と共に、彼を動かした。
- 「兄さん」
- 「おはよう。なんだい、達哉」
- いそいそと朝食を作りながら、お菓子の材料を並べ始めている兄に声をかけた。
- ここで怯んではいけない。
- あんこ餃子を平気で食べるような人間だから。
- そのうちにピーナッツバター入りのにぎりめしや、あんこと生クリームのサンドイッチを
- 食卓に並べるかも知れないのだから。
- 「達哉?」
- 飛んでいた意識が戻ってきた。
- 声をかけられて良かった。
- 「あ、あぁ……兄さん、これ」
- 俺は持っていた物を兄に押しつけた。
- 「え?」
- 「今日は、今年は…俺が兄さんにチョコをやる」
- 一個千円なんて、絶対に兄さんは手を出さなさそうな高級チョコ。
- 結構財布には痛かったが、これぐらい来月回収できる。
- 「た、達哉……」
- 感動してくれたようだ。
- 一つ息をつく。
- これで、今日菓子責めに合うのは回避できそうだ。
- 「愛を込めて選んだ……来月、返してくれれば…」
- 二・三深呼吸をする。
- 欲しい物があるんだ。
- これは、その為の布石なのだから。
- 「その…兄さん自身を……兄さんが、欲しい」
- グッと兄さんの目を見ながら、告げた。
- 兄さんの顔が、ぽんと赤くなる。
- タコのようだ。
- それは、うれしさと照れからだと知っている。
- 「来月、兄さんを食べたい」
- 「っ!ば、馬鹿なことを!!」
- 真っ赤な顔でそんなことを、顔を背けながら言われても、全く堪えはしない。
- むしろ俺を助長する物だと、そろそろ覚えればいい。
- 「兄さん……楽しみにしてる」
- 近づき、耳元にキスを一つ。
- 甘い、一日が始まる。
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- 2007.02.12
- うわーん、ありがとー大好きだーッ!!
- あまーい小説ありがとー!!
- なんですかこの素敵に爽やかな初々しさはッ!ボクは絶対書けない‥。
- いや‥、しかし来月には頑張ってお返ししなきゃ‥‥。
- やべぇええ!ネタ出ししとかなきゃーー!!