「…んッ、はぁッ……あッ…。も…許して…」

「はッ、何を許すのか言ってみろよ」

哀願するミランダを情け容赦無く追い詰める。

 

事の始まり。

 

「無茶すんなッ!」

「無茶なんてしてません」

「ほぉ…、じゃあなんでそんなにブッ倒れるんだ?ぁあ?」

「も…、もっと頑張ります」

「だから無茶するなって……」

一緒に任務をする度に幾度となく繰り返される問答。

切れたのは彼。

ブチッ

「口で言っても分からねェようだな」

「ひッ!」

ムキになって口論していたものの、

凄みを増した目で睨まれた今となっては後悔しても遅かった。

「おい」

「は…はいッ」

「立った姿勢から両膝を地面につけて座れ」

「え…あ、はい」

唐突だが、怒った彼の命令は拒絶を許さない。

仕方なく両膝を地面へつけ座ろうとすると…

「爪先は立てたまま…な」

兇悪なまでに凄みを増した笑顔。

「手は腰、背筋を伸ばす」

「はいッ」

ミランダが命令通り爪先を立てて正座すると、

神田は地面に横たわり、彼女の膝に頭を乗せる。

「い…、痛…い。これって…拷問っていうんじゃないかし…ら」

涙目で訴えるミランダの小さな抵抗。

椅子を使う国の人間には辛い正座。

更に爪先を立てさせるというのは拷問である。

「はぁ?これは、跪座(きざ)って言って俺の国の伝統的な座り方の一つだが」

なにか文句があるのか?と黙殺される。

「作法を教えてやってんだ。ありがたく思え」

 

ミランダがもう無茶はしませんと懇願するまで続けられる。

 

 

[跪座(きざ)は弓道用語です]

 

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2007.2.15
すみません、ミランダさんの膝に頭をのっける神田が書きたかっただけなんです。

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